【書評・要約】『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』ー敏感で繊細な人が社会で生きていくには?

2022年3月18日

繊細って社会で生きづらいな、、

もしあなたが、刺激に「敏感な人ーHSP」であれば、このような悩みを抱えているかもしれません。

私自身も刺激に弱い傾向があり、長年悩んできたことの1つでもあります。

私の仕事は、鈍感な人の方が活躍できる環境でした。

しかし、いっそのこと鈍感な人になりたいと思っても、なかなか変われるものでもありません。

今回は、そんな社会で苦しむ人たちへ向けて書かれた「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」という本を紹介します!

「自分も敏感な人として苦しんできた」「鈍感な人とどう関わっていくのが正解なのか気になる」

このような方は、是非ご参考ください!

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』から学べること

1.HSPの能力
2.HSPが抱えやすい問題
3.鈍感な人たちとの関わり方

本書は「繊細な人ーHSP」の人が、どのような特徴があり、その結果抱えやすい問題が説明されています。

ちなみに以前、HSPに関しての書籍として『「繊細さん」の本』を紹介しました。

比較すると、本書は鈍感な人とのより実践的な関係構築の方法など、 鈍感な人との人間関係、社会での振る舞い方に焦点が当たっている印象です。

気になる方は、『「繊細さん」の本』の記事も確認してみてください!

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』 の内容

著者は、イルセ・サン(ilse sand)さんです。

デンマークで牧師、心理療法士として、多くのHSPの人々の相談に応じてきた経験のある方です!

本書の他に、「敏感な人や内向的な人がラクに生きるヒント」や、「心がつながるのが怖い 愛と自己防衛」などの本を出しています。

HSPの割合は?

今更ですが、HSPとはどういう概念か知っていますか?

HSPとはHighly Sensitive Personの略です。

日本語で訳すと、「敏感すぎる人」「とても敏感な人」という意味です。

そして、HSPは世の中の5人に1人が該当すると言われています。

意外といるんだね!

確かに印象よりも多いかもしれません。

特にあなたがHSPだとすれば、周りの5人に1人が自分と同じ立場だとは思えないでしょう。

その理由としては、まずHSPといっても人によって程度やストレスを感じる部分が違うからです。

五感からの刺激を敏感に感じストレスを感じる人もいれば、人の感情や態度に敏感な人もいます。

つまり、同じHSPとはいえ、皆が一様に同じ感覚を共有できるわけではありません。

もう1つの理由としては、HSPは社会からの評価が低い傾向がある為、自分のHSPとしての気質を抑圧して生きている人がいるからです。

社会からHSPの側面は求められていないと思い、HSPであることを隠して生きているのです。

よって、HSPの人が実際に5人に1人ー約20%の確率でいるとは一見思えないのです。

HSPの能力

1.1度に多くの情報を吸収できる
2.音やにおいなどの微細な違いも察知できる
3.ゆっくり、多角的に考えられる
4.とても慎重で、危機管理能力が高い
5.共感力が高く、気配り上手
6.誠実で責任感がある
7.想像力が豊かで、内的生活が充実している

HSPには、このような特長があります。

もちろん全ての人に当てはまるというわけではなく、あくまで傾向です。

どうして社会では評価されにくいのだろう?

確かに多くのHSPは、社会的に肩身の狭い思いをしているでしょう。

HSPに典型的な「控えめで物静かでゆっくり物事を熟慮するタイプ」よりも、外向的でタフな人たちのほうが、「健康的で価値がある」と見なされる傾向があります。実際、タフなタイプの人のほうがエネルギッシュで、チャンスをものにしやすいのも事実です。

「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」本文より抜粋

例えば、HSPは一度に多くの情報を吸収できますが、自分にとって悪い情報も敏感に吸収します。

その結果、HSPではない人よりもエネルギーを消耗してしまいます。

また、「ゆっくり、多角的に考えられる」というのは良いことですが、即興で意見を求められる対人対話においては、非常に不利です。

このように、HSPが持っている気質というのは、特にエネルギッシュで素早い対応が求められる傾向が強い、ビジネスなどの場において評価されにくいのです。

HSPは適切な環境で輝く

しかし、一方でHSPは、刺激が少ない平穏な環境にいる場合は、HSPではない人よりも、幸福を感じやすいそうです。

ある実験では、ネガティブな情報に対してだけではなく、ポジティブな情報に対しても、HSPの人は脳の反応が大きいことが明らかになっています。

この点は知らなかった人も多いかもしれません。

HSPは、適切な環境さえ整えば、HSPではない人よりもその環境を楽しむ能力があるということです。

この情報はHSPにとっては、明るい情報なのではないでしょうか。

敏感な人が楽になる生き方

本書では、HSPが抱えやすい問題に対して、そして鈍感な人との付き合い方について、様々な方法が紹介されています。

今回は、その中でも特に日常生活で有益だと思った情報をピックアップしてみました。

怒りと向き合う

皆さんは怒りという感情にどう向き合っていますか?

私は怒りをうまく対処するのが、非常に苦手です。

怒りがわくと、周りにあたるのではなく、エネルギーを消耗して疲れてしまいます。

また、怒鳴るなど行動に表すのも慣れておらず、うまく発散ができません。

実際に、HSPはそのような傾向が強いようです。

HSPの喧嘩に対する意識
1.相手の感情を敏感に察知する為、その人の痛みを無視することに自分自身も傷つく
2.感受性が強い為、「喧嘩したい」と思わない
3.喧嘩は、議論の内容ではなく、個人を攻撃するのもいとわないタイプが強い

このような理由で喧嘩が得意ではないことも手伝い、HSPは怒りという感情にうまく対処できません。

「相手を叱る」と「自分を責める」の中間

結果として、争いになりそうな場面で、HSPは我慢してしまう傾向があります。

私自身怒りがわいても、自分を無理やり納得させてしまうことがありました。

しかし、それでは良い解決は図れません。

そんな場合、「相手を叱る」と「自分を責める」の中間の行動をとるよう意識しましょう。

中間の行動とは、自分が感じたことを「中立的な情報」として伝えることです。

たとえば、「~よりも~の方が私はいいと思う」といったような具合です。

相手が何かしたことを責めるのでも、自己嫌悪に陥るのでもなく、「私はこう思った」と事実として言うわけです。

そうすれば、相手に不快な思いをさせることなく、自分の主張を伝えることができます。

この方法は、HSPであろうとなかろうと建設的な話し合いに持っていくには有効です。

不快な気分を感じたらこの点を意識してみてください!

「深い会話」と「表面的な会話」

皆さんは会話が得意ですか?

ありきたりなこととか、世間話とかすごい苦手、、、

HSPは、話が次々と変わっていく表面的は話題に興味を持ちにくく苦手な傾向があります。

どちらかといえば、深い会話をする方が快適に話せるタイプが多いかと思います。

深い話にする方法

すこしの時間沈黙する
・・・口をつぐむと相手から深い回答が返ってくる。
●一般的な話を具体的な話に変える

・・・「具体的には?」とさりげなく聞くと、具体的な話になり1つの話題について深くなる。

これくらいなら少し意識すればできそうですね。

口をつぐむと会話が止まってしまうと焦るかもしれません。

しかし、沈黙を恐れて支離滅裂な話をしても意味がありません。

この2つの方法を会話の際に、入れてみるようにしましょう。

表面的な話にする方法

逆に深い話をしたくない時もあるよね?

例えば、話してみたけれども距離を置きたい人や、話を早々に切り上げたい時もあります。

その際は、深い話から表面的な話に転換する必要があります。

その場合は逆に具体的な話を一般的な話に変えることです。

そうすれば、会話を適切なレベルに保つことができます。

私も会話に苦手意識がある為、話を深くする方法、表面的な会話に戻す方法は、会話のテクニックとして今後使ってみようと思いました。

刺激で疲れた時の対処

皆さんは、不快な刺激で疲れ切ってしまった際どのように休みますか。

とりあえず寝る!

私も疲れた時はとにかく寝てしまいたいと思い、すぐに寝ていました。

しかし、残念ながら睡眠は過剰な刺激を妨げる効果はないようです。

消耗した状態で寝て刺激いっぱいの悪夢を見た経験はありませんか?

HSPにとって、睡眠は刺激的な夢を見てさらに疲れてしまう可能性も高いのです。

寝ても意味ないならどうすればいいの?

HSPが休息する方法は、寝るのではなく、「できる限り何もしない」ことです。

座って何にも注意を向けず、新しい情報が入ってこないようにする必要があります。

エネルギーを自分の内面に集中させ、すでに入りこんでしまった情報を整理しできます。その間、ほとんど何もしていないと感じるかもしれませんが、あなたの内側では、実にたくさんのことが行われているのです。

「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」本文より抜粋

この知識は「疲れたら寝る!」が当たり前になっていた私にとっては新鮮でした。

刺激を浴びて疲れた際は、寝不足ではない限り、寝るのはあまり効果がないということです。

「疲れたらとりあえず寝よう!」と思っている方も認識を改めた方がいいかもしません。

まとめ

現代社会において、HSPについてはまだまだ人々の理解が得られていない現状があります。

その為、理解してもらえず自分を抑圧して生きてきた人もいるかもしれません。

今後、HSPとHSPではない人が、行き違いがない社会になって欲しいと願います。

そのために必要なのは、お互いの個性に敬意を払い、理解することです。

HSPの話題に限らず、皆さん一人ひとりが他者を理解する、その意識をより心がけることで、一層快適な社会できるのではないでしょうか。

HSPについてもっと知りたいという方は是非読んでみてください!